地方都市近郊のスナックに一見で入ったら、客とホステスが全員国民新党のソックリさんだった。

「いらっしゃいませ」と出てきたママは和服を着た亀井静香だった。一瞬、元彌のおっ母さんかと思った。

奥の席で自見庄三郎が、連れと大声で銀行の窓口の応対の悪さについて議論を交わしていた。

隣の席には、腕に金ロレを巻き、首には磁気ネックレスをつけた下地幹郎がいて、「星降る街角」をアクション入りで歌いまくっていた。

私の席にホステスの亀井亜紀子が座った。週二日だけバイトをしているそうだ。二言三言会話を交わしたら、郵便局の常連さんが来たらしく「亜紀ちゃ~ん」と呼ばれ、「すぐに戻りますね」と行って他の席に行ってしまったまあ戻ってくる気配はなかった。

つまらないので帰ろうと思い、お勘定をお願いしたら、敏いとうが「よせばいいのに」と言いながら9万8,000円の請求書をもって来た。

(なかにし札 『新国民紀行』より)

亀井の後釜の金融大臣が自見だそうだ。この人は医者で、ズーッと医師会がらみでやってきた政治家だ。あまり頭の良い政治家には見えない。テレビで片山さつきにコテンパンに論破されるようなレベルで、どう考えても金融大臣になるような経済知識を持っているとは思えない。どうせ、参院選までのつなぎだから誰でもいい、ということだろうけれど、その間に大きな金融問題があったらどうするんだろう。選挙までのつなぎとはいえ、こんな素人を国務大臣に据えさせられるのだから、民主党も良い面の皮だ。

国民新党は、支持率0%、特定郵便局長と郵政グループ労働組合の利権票だけが頼りの小政党。なんの正義もない政界の汚物だ。自由経済を嫌い、金融を敵視し、パターナリスティックな大きな政府を志向する国家社会主義者の集まりだ。彼らの政策の軸は、都市の勤労者を搾取して地方に配分する貧困の平等化だ。国民新党とは、日本の衰退を運命づけてきた田中角栄的な古い自民党のエッセンスを体現した政党なのだ。そうやって見れば彼らが郵政改悪法案に固執する理由がわかるだろう。

さらに、国民新党が汚物である理由は、同党が亀井静香の私怨を晴らすための政党だということだ。郵政に関しては、亀井は小泉元首相に自民党を叩き出され、ホリエモンという「刺客」にさんざんな目にあわされた経緯がある。亀井という人間は、実に執念深い人間で、例えば、客室乗務員のパート採用をストップしたのも、自分が政権から引きづりおろされた時に、航空業界から冷たくあしらわれたことへの意趣返しだと言われている--なるほど、亀井が、宿敵=小泉とその関係者であったホリエモンや竹中や木村剛に復讐を考えるというのはいかにもありそうだ。陰謀論的な文脈では、あの異常なライブドアや村上ファンド圧殺に亀井が関与したことも十分想像できるし、今回の日本振興銀行への不当な攻撃も亀井の意趣返しと見るべきだろう。

心ある民主党員は、薄汚い泥亀の汚物政党に振り回されることに辟易しているだろう。菅直人は、なんとかうまく国民新党にお引き取り願う方法を考えているようにも見える。郵政改悪法案も、結局、国民新党だけがこだわっている百害あって一利なしの法案だ。うまく交わして、なかったことにしてしまいたいと思っているだろう。

しかし、管は、就任演説で参院選の民主党の公約として「郵政法案の早期成立」を謳っているわけで、これは「強行採決」を公約したようなものだ。参院選の結果、相変わらず国民新党がキャスティングヴォートを握るようなら、それもありうる。それに対して、もしも国民新党と結託する必要がなくなれば、郵政法案は完全に葬り去ることができる。それは民主党が大勝ちして参院で過半数を取った時か、国民新党との連立(プラス社民党の閣外協力)でも過半数が取れない事態になり、別の連立パートナーを考えなければならない時だ。

■ 「みんみん連合」がベスト:参院選では民主党にほどよい敗北を

前者、つまり民主党の大勝は望ましい結果を生まない。民主党にフリーハンドをもたせることは極めて危険だ。だから望むべきは後者、つまり民主党と国民新党(と社民党)を併せても過半数に届かない事態だ。しかし、大負けはまずい。これまた危険である。小沢復活の呼び水となるからだ。敗北とは言い切れないようなそこそこの敗北がよい。それプラス、国民新党と社民党への壊滅的な打撃があればベストだ。

民主党にとって汚物=国民新党と手を切って、「みんなの党」と連立を組む方が、もともと民主党が目指していた政治に近くなるだろう。参院選後の「みん-みん」連立成立こそ、民主党政権を一番まともなものにすると思える。

その時は、小沢とも手を切る時だ。小沢一郎はもう日本の政界から退場するべき時だ。20年の長きにわたり日本の政治をかき回し、日本を混迷の淵にたたき落としてきたのだ。その間に、彼が愛してやまない韓国も一大飛躍を成し遂げた。もういいだろう。自然死を待つのではなく、その恥多き政治生活にピリオドを打たせる「政治的な死」を静かに迎えさせてやるべきだ。

参院選では、民主党がそこそこに「敗北」することが最も良い結果を生むような気がする。

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